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鴨川におけるウズムシ類の
経年変化と鴨川の環境

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鴨川におけるウズムシ類の 経年変化と鴨川の環境

京都先端科学大学附属高等学校

活動内容について

理科部の活動内容はこちらよりご覧ください。

生きものが知らせる川の環境変化

2006年から理科部が引き継いできた取り組みは、地元の鴨川をフィールドとする水生生物調査だ。プラナリアの仲間であるウズムシ類を中心に、川の環境変化を継続的に把握し、環境保全に役立てることを目指してきた。
川の各地点のウズムシの分布を見ると、活動を始めた06年と比べ、現在、帰化種(人為的に持ち込まれ、野生化したもの)が上流域へ広がっていることが判明。特にアメリカツノウズムシは、19年にかけて約10km近くも遡上している。さらに姿を確認できなくなった在来種や、ウズムシ類そのものの個体数が急減するなど変化も見られた。
水質調査では、生きものの生息環境の悪化が示唆され、絶滅危惧種であるスナヤツメも、この2年で見つからなくなった。生徒たちは「最近の護岸工事などで、川の環境が変わってしまったのでは」と危惧する。

水生生物の変化には水温の影響も

帰化種の遡上は水質変化によるものだけではないということも分かってきた。水温別に死亡率を調べる実験を行ったところ、高水温の環境では在来種・ナミウズムシの死亡率が高く、帰化種は低いとの結果を得た。さらに定点調査によって、水温が高い時期(8月末~9月)の個体は帰化種が多いことを確認した。
河川環境の変化で真っ先に影響を受けるのは、水中の生きものだ。調査の積み重ねがあるからこそ、個体数の変化などのデータをもとに、地球温暖化などの外的要因にも気付くことができ、人の生活とのつながりを考えてもらう活動にもなっている。
地道な調査を長期間にわたり続けた「継続は力なり」という研究に対して、審査員からは、エコワン活動賞が贈られた。河川環境は日々変化するなか、生徒たちは今後の調査継続とともに「外来種の繁殖・定着の仕組みを解明したい」と、さらなる進化を目指している。

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